あるとくぺらせす

小説置き場

キラー×レディ

ひとりで食事をするのが当たり前だった。
別に珍しいことじゃない。
父親も母親もどうしようもない人間で、たまに帰ってきたかと思えば、子供の前で平気で身体を交わらせる。
俺はやつらが奏でる下品で卑猥な音楽を聴きながら、ぼんやりとテレビを見ていたんだ。まあこれも、特に変わったことじゃないんだろう。
それでもどうしようもなく耳を塞ぎたいとき、俺はテレビをつけるのが日課になっていた。
父親だか母親だかもう判別もつかないほど乱れきった掠れた声が聞こえてくる中、テレビの中に映る人間はどれも清潔に見えた。
どうしてあんなに綺麗な女がいるんだろう。
どうしてあんなに頼もしい男がいるんだろう。
どうして、俺の周りには、薄汚い人間しかいないのだろう。
綺麗なドレスを着た女が美しく微笑み、それを見た誰かが言った。
「完璧なレディだ」
それが耳に残っていた。
どうしても最期まで親だと思えなかった男と女の血にまみれ、ナイフを手に立ち尽くしたあの時でさえ、
俺の脳裏には綺麗な女の姿と、それを形容する「レディ」という言葉が、いつまでも離れなかったんだ。

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