あるとくぺらせす

小説置き場

吾ヤコ5

――私は爆弾魔。だから私はカワイイ
   私の名前はヒステリア
   絶対なる本能に従う忠実な理性よ――

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魔人探偵脳噛ネウロ | コメント:0 | トラックバック:0 |

キラー×レディ

ひとりで食事をするのが当たり前だった。
別に珍しいことじゃない。
父親も母親もどうしようもない人間で、たまに帰ってきたかと思えば、子供の前で平気で身体を交わらせる。
俺はやつらが奏でる下品で卑猥な音楽を聴きながら、ぼんやりとテレビを見ていたんだ。まあこれも、特に変わったことじゃないんだろう。
それでもどうしようもなく耳を塞ぎたいとき、俺はテレビをつけるのが日課になっていた。
父親だか母親だかもう判別もつかないほど乱れきった掠れた声が聞こえてくる中、テレビの中に映る人間はどれも清潔に見えた。
どうしてあんなに綺麗な女がいるんだろう。
どうしてあんなに頼もしい男がいるんだろう。
どうして、俺の周りには、薄汚い人間しかいないのだろう。
綺麗なドレスを着た女が美しく微笑み、それを見た誰かが言った。
「完璧なレディだ」
それが耳に残っていた。
どうしても最期まで親だと思えなかった男と女の血にまみれ、ナイフを手に立ち尽くしたあの時でさえ、
俺の脳裏には綺麗な女の姿と、それを形容する「レディ」という言葉が、いつまでも離れなかったんだ。

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シャドウハーツ | コメント:1 | トラックバック:0 |

バァン×ひとみ

「バァン様ぁ〜!」


天気は快晴。目に鮮やかな真っ青な空と、綿をちぎって放ったような雲がゆっくりと移動する。
太陽はじりじりと山や谷、家々や人の上に降り注ぎ、時に激しく、時に優しく、その光を誇示している。
脅威の軍事力と科学力を誇ったザイバッハ帝国に国を滅ぼされたファーネリアの若き王、バァン・ファーネルは、
屋根の上に背を乗せて、ぼんやりと幻の月と、そこから来た少女から託されたペンダントを眺めていた。
耳に届く自分を呼ぶ声に、横たえていた身体を持ち上げ、見下ろせば、良く知った妹のような存在の猫耳の少女が、軽やかに駆けてくる。

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天空のエスカフローネ | コメント:0 | トラックバック:0 |

ドライデン×ミラーナ

ひとみが幻の月に帰ってから、3年の月日が流れようとしていた。
商業国家アストリア王国の第3王女にして第1王位継承者・ミラーナ・アストン。
彼女はドライデン・ファッサとの婚約を解消した後も、独り身でいる。
時に怪我人のために自ら足を運んだり、下町へ出て人々と触れ合ったりと、国民からも絶大な支持を受ける彼女だったが、それでも、誰とも結婚しようとしない。
「待ってるの?」
ミラーナの姉、エリーズが、そんな妹に声をかけたとき、窓を大きく開け放した部屋で、紅茶を飲んでいたミラーナはふふっと笑うのだ。
「いいえ、お姉様。わたくしは、待ってなどいないのよ」
「では、何故? 先日も、あなたにお話を持ってきた方を、笑顔で追い返したと聞いているけれど」
「だって、心に決めた方がいるのに、他の殿方と会うなんて、できやしないわ」

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天空のエスカフローネ | コメント:0 | トラックバック:0 |

笹ヤコ2

手首の痣。
それは普段スーツの袖で隠れていて、署内の人間が気づくはずもない。
手錠の痕。
あの夜、確かにつながっていた彼女と同じもの。
車を走らせながら、ハンドルを握ったとき、わずかに痛みを感じる。
夢ではなかったと。
彼女もあれを夢と済ませず、ふたりの関係の延長を望んだこと。
彼女の気持ちは、どこまでが真実なのだろう。
痣が消え去っても、同じ気持ちでいてくれるのだろうか。
笹塚は無表情な顔の下で、焦りを覚える。
大人になるのなんて、待ってられない。
「…そうだよな」
君は自分の立場をもう少し、自覚したほうがいい。

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魔人探偵脳噛ネウロ | コメント:4 | トラックバック:0 |

笹ヤコ1

「犯人は…おまえだ!!」


…いつもながら、鮮やかなことだな。


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ネウヤコ2

ちくり。
身体のどこかがわずかに痛む。
ちくり。
…鬱陶しい。この痛みの正体はなんだ?
ちくり。
地獄の業火にも耐えうる肉体を持つ我が輩が。
…ちくり。
こんな些細な痛みを、いつまでも引きずるのは許容できない。

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魔人探偵脳噛ネウロ | コメント:0 | トラックバック:0 |

ネウヤコ1

「愛していたから殺したのよ」


謎を喰らい、薄味だったがそれなりにと機嫌をよくしたネウロの耳に、喰いカスの悲痛な声が入ってきた。
喰いカスは連行されながら、涙を浮かべてヤコを睨む。
「あなたにはわからないでしょうね。生涯かけて愛せる相手を見つけられても、その人が自分を同じように愛してくれなければ、無意味なのよ。
 私はそれがわかったからあの人を殺したの。これであの人は、ずっと私だけのものよ」

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吾ヤコ4

「ネウロ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
あたしは、おずおずとそう言った。
触覚を張り巡らせ、謎の気配を探していたネウロは、振り向きもせずに答える。
「なんだ、便所虫」
「……」
負けちゃダメだ。

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吾ヤコ3

がちゃ。
「行くぞヤコ。謎を発見した。…ん? 何をしている?」
「きゃああああーっ!」
「バ、バカ野郎、ノックかチャイムを押せよてめえ!」

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吾ヤコ2

「あたし、またここに来ても、いいかな」
帰り際、あいつは恐る恐る、俺に言った。
俺が「来るな」と言ったから、蚊の鳴くような、小さな声で。
俺は内心自分の不甲斐なさにため息をつきながら、それを声に、言葉にすることがどうしてもできなくて、結局一言。
「ああ」
それだけしか言えなくて、ポケットに突っ込んだ両手をぎゅっと握った。
それでも安堵した表情で、手を振って出て行くあいつの背。

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吾ヤコ1

「取るに足りない小さな謎だが・・・
 喜べ「謎」よ。
 我が輩が貴様に話すことはたった二言・・・
 たった二言、つまり」




・・・いただきます・・・

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物語を語ろう・23

人は見かけによらないものだと、この仕事をやってて思う。
例えば、そう、どこにでもいる着飾った女。
身なりもいいし、ブランドもののバッグを持って、颯爽と歩いてる。
だけど俺は知っている。
家に戻れば豪華なのは身に着ける衣服だけ。
食事はいつも、たまごかけご飯。カードは火の車だし、預金だって底をついてる。
外見だけ取り繕って、夢はセレブなんだとさ。
俺は笑わねえよ。笑ったりするもんかよ。
夢に向かってあの女はそれなりに努力をしている。それを笑うのは失礼ってもんさ。
だから俺は、「頑張りな」と一声かけて、黙って女の家から立ち去った。
そうそう、俺の仕事は泥棒さん。
あーあー、目くじら立てるな。わかってる。おじさん全部わかってる。
とりあえず話だけでも聞いてくれ。
そんで、あんたのことも教えてくれ。

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物語を語ろう・22

「・・・弟よ、聞いてもいいか?」
「なんだい、兄者。恋愛相談以外なら、何だって聞いてくれ」


木枯らし吹きすさぶ寂れた場所で、ふたりの男が力なく会話している。
弟と呼ばれた男は脂の乗ったでっぷりと太った小男で、兄者と呼ばれた男は痩せぎすで背も高く、弟はいつも、首が痛くなるほど兄を見上げなくてはならなかった。

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物語を語ろう・21

街はとことん干上がっていた。

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物語を語ろう・20

人という生き物は、酷く楽をしたがる。

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物語を語ろう・19

人の出会いが運命であり、偶然などありえないというのなら。
俺は感謝するだろう。その運命とやらに。
聞いたことはないか? 感じたことはないか?
俺たちの生き様は、誰かの手によって導き出されたシナリオのようなものだってこと。
自分の意思でここまできたと思っても、そんな俺たちの頭上で、ほくそ笑みながら、羽ペン片手に頬杖ついてる誰かがいるかもしれないってこと。
そいつが神様なんてものならば。なあ、ずいぶんと暇人じゃないか?
神様は、俺たちを作り、見守ってきたというけれど、実際は、縛り付けているのかもしれないぜ。
俺たちには、絶対に勝てないものがある。それは人それぞれに違うけれど。
俺だったらそう。
俺のそばにいる、このお姫様だ。
どんなに力で勝っていようが、彼女が俺を見上げることはあっても見下ろすことはないとわかっていようが、俺はこのお姫様だけには叶わない。
なあ神様。
何故、彼女なんだ?
俺に用意されたシナリオは、どんな結末を待っている?

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物語を語ろう・18

そのとき私は、彼が侵入してくるのを拒むことができなかった。
彼がどうしてここにきたのか、なぜあれほどの目をして私をにらみつけているのか、私にはわかっていたからだ。

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物語を語ろう・17

「選ばせてやる」
人が住んでいるにしては、あまりにも広くて寒いその中で、上質のソファに腰かける男は、ゆったりと足を組みながら、立ち尽くしている娘に言った。
「選ばせてやる。このまま俺に懐柔されて死ぬか、惨めにひとりで死んでいくか。

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物語を語ろう・16

恐らく、お互い一目で見たときからわかっていた。
こんな立場でなかったら、きっと良い友人になれただろうと。
第一印象がこんなによい相手にめぐり合えたのは、生まれて初めてだった。

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物語を語ろう・15

「有名な吸血鬼が言ったねぇ。《無知は罪だ》と。知ってる?」

「知りません」

「つまり、何にも知らないってことは、愚かだってことさ」

「意味くらいはわかります」

「ああっ、なんてつまらない女なんだ。ねえ、聞いたかいキミたち。この女は、ボクとまともに会話すらできないよ。
 これこそ、罪と呼ばずに何と呼ぼうか?」

「私だったら、《いやあボス、この綺麗なお嬢さんは、とても賢明なことをしてやすぜ》と言うでしょうね」

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物語を語ろう・14

気づけば上等の絹の手袋が、甲を見せて目の前にあった。

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物語を語ろう・13

「・・・やめてくれないか」

「・・・わかりました・・・」

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物語を語ろう・12

今の自分に満足している人間はどれだけいるだろうか。
当たり障りのない日常を送っていても、ふと、「自分はこのままでいいのか?」と問いかけてみたくなることはないだろうか。
オレが思うに、その気持ちが大きくなればなるほど、人は行動を起こせるのだと思う。
なんとなくやっていることに意味はない。
やろうと思ってやらなければ、結果は実らない。
ただ世の中はうまくできていない。
努力が実を結ばないことだってある。
楽して幸せになっているヤツは必ずいる。
平等なんて、どこにもないのだ。

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物語を語ろう・11

長い銀髪が踊る。
私の前に颯爽と現れた彼女の顔は、極度の緊張のためか強張って見えたが、
はっきりと私を見据える群青色の瞳は怒りか憎しみか・・・涙で濡れている様に見えた。
私は引き金を引きながら思う・・・間に合わない。

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物語を語ろう・10

見知らぬ部屋の見知らぬベッドに、私は倒れこんでいた。それも、仰向けに。
木造の真新しい天井に、四角い形をした電灯。窓から差し込む光はやわらかく、電気がついていなくても明るい。
知らない部屋の知らないにおい。怖くて辺りを見渡すこともできず、四角い形の電灯をじっと凝視する。
無音の部屋。遠くで車のエンジン音がする。
状況が全く飲み込めず、しばし硬直。



「あれ・・・?」

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物語を語ろう・9

僕は生徒たちに好かれたいだなんて、これっぽっちも思っていない。

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物語を語ろう・8

「人はあっけなく死ぬものなの。大きくて重いものをぶつけてやればね。

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物語を語ろう・7

愚かなことだ、と、青年は思った。
人が人であるためになすべきこと全てが愚かだ。
どうせ捨ててしまうのに、何故求めてしまうのだろう。
どうせ要らなくなるのに、何故欲してしまうのだろう。
こんなことを考える自分も、こんなことを考えるために生まれついた自分も愚かだ。
結局世の中全てが愚かなもので出来ており、人は愚かなまま死んで、生まれ変わる。
全く馬鹿げたことだ。
やはり愚かだ、と、青年は苦笑する。
少し前の自分が今の自分を見たら、おそらく失神するのではないだろうか。

「おまえはそこまで愚かになったのか」と。

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物語を語ろう・6

「アタシを忘れた? そりゃ悲しいね」

最近、夢の中に必ず女が出てくる。
そりゃあすこぶるいい女で、清純って感じじゃない。魔性の女って感じだ。
ウェーブがかった真っ黒な髪が光に反射してキラキラと輝いて、それと合わせた真っ黒な、ガラス玉みたいに綺麗だが、どこも見ていない瞳と、真っ赤な唇。
それがにんまりと笑い、必ず言うんだ。「忘れちまったのかい?」って。
冗談じゃないね。こんないい女、男なら誰だって忘れるわきゃないだろが。俺の脳みその「いい女ベスト10」の間違いなく上位に入ってるね。あいにく1位はやれないな。アンタがどんなに美人でも、うちのカミさんにゃあかなわねえだろ。
けどその魔性の女は夜な夜な俺の夢の中に出てきて、同じ台詞を言うんだ。困ったなぁ。女房一筋で60年生きてきたのに、気づかない内に浮気でもしてたか?

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物語を語ろう・5

綺麗な黒髪だった。

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物語を語ろう・4

彼女には好きな人がいた。

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物語を語ろう・3

一面、白い世界が広がっていた。

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