リオウルート12006-07-30 Sun 22:04
「リオウ!?」
月明かりの中に浮かび上がっても拭えない漆黒の闇が、背を向けて立ちはだかった。月を暗雲が覆い隠し、一凪の風がランプの炎を吹き飛ばす。メルローデの部屋は完全な夜に溶け込んだ。 「ほう? 珍客だな」 侵入者が面白そうに軽口を叩く。メルローデはその声を聞いてはっとした。 |
物語を語ろう・30(後半)2006-07-01 Sat 23:05
◇
いつものように部屋で本を開いていると、父が外交でいないからと、嬉しそうに部屋に入ってきた姉に腕を引かれ、外に出たことがあった。あれはもう十年以上前になる。 今まで外に出るといえば、父のお客に紹介されるためだとか、気まぐれで祭りに連れて行ってもらえるときだけで、こうして姉とふたりでこっそり出かけるといったことは、初めてだった。 あの男に知られたらどんな仕置きを受けるかと怯えていると、姉は大丈夫だと笑ってくれた。 ふたりで手をつないで街に入ると、中は活気で溢れていた。初めて見るものや、初めてのにおい。何もかもが初めてで、新鮮で、夢の中にいるようだった。現実だと教えてくれたのは、手を握ってくれる姉のぬくもり。あの男が決して与えてはくれなかったもの。姉は欲しいものを全て与えてくれた。すごいとはしゃぐと、姉はうなずいた。 「大人になったら、いつでも好きなときに街へ行けるのよ」 「大人になったら?」 「そう! だから私、早く大人になりたいの。大人になったら結婚して、家から出るの」 姉の無邪気な発言に、弟は言葉を失った。 「お父様のためにいくら頑張っても、私では無理なの。だって貴方がいるから」 姉は寂しそうに弟を見つめ、きゅっと手を握り直す。 「男の子ってうらやましいわ。でも性別は神様がお決めになったことだから、仕方がないわね。お父様の期待に応えてあげてね。それができるのは、あなただけなのよ」 |
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